【コロナ禍のビジネス】事業継続のために必要な5つのアクション

2020年は新型コロナウイルスの脅威により、多くの起業家にとって転換期となった。本記事では、ニューノーマルにおけるビジネス継続の5つのヒントを説明する。
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2020年は新型コロナウイルスの感染拡大により、シンガポール企業にとって激動の年となった。Lee Hsien Loong首相が4月3日にサーキットブレーカー(CB)を発表して以来、厳しい規制が行われ、私たちの生活や仕事に影響を与えてきた。

この間、本来はオフラインであった多くの業務が制限されなければならなかった。航空や観光など、特定の産業では膨大な損失が生じている。8 月に発表された レポート によると、シンガポールは技術不況に陥り、2020 年は国の歴史上最悪のパフォーマンスの年となることが予想されている。シンガポールの GDP は-5~-7%減少すると公表されている。

製造業の生産高は2019年と比較して6.7%減少し、失業率は3月の2.4%から6月には2.9%に上昇し、小売売上高は6月にも前年比27.8%減少した。

 

一方、eコマースや配送プラットフォームは売上高を急増させた。新型コロナウイルスの脅威がすべてのビジネスにとって悪影響を及ぼしていないことが分かる。この間、ビジネスの継続と成功にこぎつけた企業には共通点がある。

それは「デジタル化」と「ピボットの能力」である。

地元企業のEmpatKaliは、オフラインとオンラインの取引に無利息の分割払いを可能にし、「Buy Now, Pay Later(いま買って、あとで払う)」モデルを提供している。これが大成功をおさめたことからオーストラリアに拠点を置くAfterpayに買収され、見事なExitを遂げた。

一方、メンタルウェルネスのプラットフォームであるSafe Spaceは、オンラインカウンセリングを提供し、大きな話題を生んでいる。

これまで受動的かつ保守的な姿勢をとっていた企業は、新型コロナウイルスとの戦いが2021年に向けて続いていることに気づかなければならない。

そして、「ニューノーマル」を受け入れ、率先して行動する。

今後生き残りを図っていくには、このメンタリティが重要となる。

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本記事では、まだ行動に踏み出せていない起業家やスタートアップ向けに「ニューノーマル時代」を生き残るための5つのポイントを紹介する。

 

 

①法的基盤を整備する

まずはビジネスを継続するための法的基盤を固めよう。

株主との契約、起業家の権利確定契約、知的財産譲渡契約などは、物事の透明性を保ち、関係者の説明責任を果たすために明確にしておく必要がある。

資本金をどのように得ているのかを知ることが重要であるのと同様に、責任、義務、負債を知ることで、撤退や紛争が発生した場合にも対応が容易になる。

 

 

②補助金、投資家資本の理解を深める

シンガポール政府は、既存のビジネスが継続できるよう積極的に取り組んできた。 今年は4つの景気向上施策により1,000億シンガポールドル(730億米ドル)以上を拠出し、2021年第1四半期には追加で58億シンガポールドル(42億米ドル)を拠出して経済を支援している。

資本予算計画を作成する前に、どのような補助金やスキームが利用可能であるかについての知識を身につけておくことをお勧めする。

選択肢を吟味せずに資金源を決定することに焦ってはいけない。スタートアップ企業の資金調達は投資家やVCを通じて行われることが代表的であるが、すべての投資家が良い資金を提供してくれるとは限らない。あなたが資金を得る権利を受けるのと同時に投資家に何を求められているのか?

これをしっかり把握した上で意思決定を行おう。

 

 

③労務環境を整備する

WFH(在宅勤務)が当たり前の世の中になってきたが、これがさらなる課題につながっている。

Limelight Networksの最近のレポートによると、シンガポール人の74%はWFHを利用した方が生産性が高いとしているが、実は労働時間は長くなってきている。調査対象となったシンガポール人のうち、WFHが恒久的なものであることを望んでいるのは32%に過ぎず、51%がオフィスか自宅かを選択できる柔軟性を好んでいる。

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起業家は、家庭環境や条件によってWHFにおける従業員の生産性が異なることを把握する必要がある。新しいビジネスを始めることはエキサイティングではあるが、労働時間の延長や常に会社と接続されている環境に燃え尽きてしまうリスクは高い。

自分の労働時間を明確にし、自分自身、パートナー、同僚にしっかりと向かい合おう。

 

 

④チームの不調和を是正する

スタートアップ企業の60%から70%の失敗は、ファウンダーとそのチームの間の不調和が原因である。

私たちは、多くのスタートアップのファウンダーと一緒に仕事をしてきたが、ファウンダーがチームメンバーと一緒にいるときは意思統一できているように見えていても、ファウンダーが一人でいるときに話しかけると全く異なることを言っていることが多い。

不快なことや悩んでいることがあれば、何でも対処しよう。小さなイライラが積もってくると、チームの不協和音に繋がり、それがやがて大きな損失に繋がる。

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⑤「合わせる」か「閉じるか」の準備をしておく

決して当たり前のことを当たり前と思わず、外部環境は常に変化しつづけることを覚えておこう。

トレンド感を常に保持しておくことは、ビジネスの長期化に貢献する。

Bubble Tea Chainsがコロナ禍で売上を伸ばしたように、変化を受け入れ、変化した外部環境に「合わせて」ビジネスを展開していこう。「ニューノーマル時代」で生き残り続けるには、この合わせるという感覚が重要になる。

 

一方、ビジネスを継続することが目的化していても良くない。

もしどうしても打つ手が見つからない場合は、再編成のために一旦ビジネスを「閉じて」しまうのも悪い選択肢ではない。

一度完全停止させたものから大成功事業に発展させたビジネス事例はたくさんあるのだから。

 

 

翻訳元:5 things entrepreneurs need to know about running a business in the new normal

記事パートナー
アジア各国のスタートアップシーンを世界に発信するオンラインメディア
執筆者
松尾知明 / Tomoaki Matsuo
中小企業診断士 / Web Writer
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