2020年は、人類にとってパラダイムシフトの年であった。企業や消費者は、前例のない課題適応するため、生活様式やビジネスを急速的に変えなくてならなかった。
パンデミックの影響を最も受けるのは、小売業界である。業界や経済の主要なトレンドを早期に把握した企業は、変化する需要に素早く対応でき、大きな利益を上げることができた。
2021年は、パンデミック後の社会に適応し、新たなトレンドやパラメーターに基づいた意思決定を行うことで、ビジネスとしての成長機会を得られるであろう。
中小企業がCOVID-19の危機を乗り切るためには、顧客行動の変化の影響で生まれた新しいトレンドをしっかりと理解し、その機会を逃さないことが重要だ。まずは、小売・物流業界双方で見られ、今後経済回復の際にも続くとされる例を紹介する。
パンデミックによって、急速的にデジタルトランスフォーメーションは進み、既存・新規双方の小売業者にもEコマースが必要不可欠となった。Eコマースで重要となってくるのは、「スピード」である。
シンガポールでのまとめ買いを例にとってみる。消費者は、COVID-19の流行により自宅で仕事をするようになり、買い物や食事も自宅で済ませるケースが多くなった。
そして、多くの人は配送料をなるべく抑えるために、まとめ買いをすることが多く、その対象商品は、食品、生鮮食料品、電化製品、衣料品など多岐にわたる。
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社会的なローカルブランド支援策に加えて、上記のトレンドは、人々がローカルな小売業に興味を持つきっかけとなった。なぜなら、地域の小売店で購入すれば、注文から配達までの時間が短いからである。これは、小売店の中小企業が迅速で信頼性の高い配送サービスを提供するために、物流戦略を練り直す必要性を示している。
顧客自身も、配送に時間がかかったり、遅れたりすることのデメリットを痛感している。スピードと効率を求める声が高まる中で、小売業の中小企業は、新たなチャンスを捉え、ビジネスを拡大させるために、物流の専門家を頼るべきである。
成功している企業は、質の高いサービスを提供している配達業者とパートナーを組み、配送サービスの効率性、信頼性、価格帯、柔軟性を向上させ、究極的には顧客満足度を高められている。
さらに、真の意味で献身的で適切な配送業者と手を組むことで、企業は、配送に関する苦情を減らし、ビジネスを成長させることに力を注げる。
2020年は、イベント主催者にとって悩ましい年であった。企業は、イベント開催がオンラインにせよオフラインにせよ、購買に対する需要に応えられなければ、何億もの利益を失うリスクにさらされた。
オフラインでのイベント開催が困難になった結果、主催者は、カンファレンス、コンサート、マラソン、さらにフードフェスティバルまでをバーチャルで行うという代替手段に迅速に移行した。
例として、シンガポールで毎年開催される「Shilin Night Market」が挙げられる。そこでは、様々な台湾の限定食品や製品が提供され、多くの人が集まる。昨年は、COVID-19の流行による規制のため、大規模なバーチャルイベントに移行していた。
Pickuppは、ウェブポータルとアプリを提供することで、このイベントをサポートした。Pickuppは、このイベント専用に、「Digital Shilin 2020」というカテゴリーを設け、100社近くの個性的な飲食店が参加した。2週にわたり週末には何千もの注文が殺到する結果となった。
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Virtual Singapore Shilin Night Marketは、状況の変化に適応し、新たな顧客のニーズを満たすための物流サービス活用方法としてよい例である。
厳しい状況下であるが、少しずつオフラインイベントも開催されているため、これからは必要に応じて、オンラインかオフラインかを選ぶハイブリッド型が増えていくと予想される。そして、その際配達は必要不可欠なサービスとなる。
ASEAN加盟国の消費者のうち39%以上が、昨年Eコマースに不満を感じ、その主な理由として配達コストとサービス内容が挙げられた。このような消費者の不満への対処を怠ると、ブランドへの信頼が損なわれるという最悪の事態を招くこととなる。小売業界の中小企業は、他社との差別化を図るために、豊富な選択肢を用意し、注文を効率的に処理できるよう物流サービスを改善する必要性がある。
多くの企業は、固定のフリートモデルを採用しているため、需要量の急速的な変化には対応できない。その一方で、Pickuppは、フリーランスの配達員と自社内の配達員の双方で対応しているため、需要の変動に対応できる。特に、フェスティバル期間中は、最大5倍の注文に対応可能だ。
テクノロジーを活用し、透明性と柔軟性を高める戦略を導入している企業は、オンライン・オフライン双方で、ユーザーエクスペリエンスの質を高めることに成功し、その結果、お客様満足度とブランド力を向上させている。即日、翌日、1〜3日以内の配送に加え、最近では2時間以内に届ける配送サービスを開始し、顧客の要望により柔軟に応えられるようになった。
また、最近シンガポールでは、車に頼らない社会形成を目指すなど、サスティナビリティへの関心度が高まっている。そのため、人々が密集している地域でも効率よくスムーズに配達可能な、徒歩やバイクによる商品配達の人気が高まると予想される。
シンガポールでは、配達エージェントの約半数が徒歩やバイクでの配達であり、自転車ネットワークや公共交通機関の拡大に伴い、さらにこれらの数が伸びると予想されている。
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注文数の増加に伴い、地域密着型デリバリーが促進される。この場合、加盟店は、交通状況やピーク時の駐車スペース不足の影響を受けることなく、機動性と柔軟性のある徒歩とバイクでの配達で、地域内の配送を実現できる。その結果、効率が向上し、ガソリン代や駐車場代の節約も可能だ。
Eコマースブームにより、企業が激しい競争にさらされている中、顧客満足度全体に大きな役割を果たす配送は、購買行動やブランド力に大きな影響をもたらす。
新たな顧客を獲得するためには、小売業の中小企業は現在の物流サービスを見直し、需要の変動に対応するための新しいアプローチを検討すべきである。小売業の中小企業にとって、既存の物流会社との提携は、そのよい方法である。
翻訳元:3 trends that will reshape the retail and logistics industries in Singapore this 2021
表題画像:Photo by Reproductive Health Supplies Coalition on Unsplash (改変して使用)